ブレンパワード5,6,7,8話感想 その2

ブレンパワード5~8話感想 その2です。

 

 

ノヴィス・ノアに居つくこととなったカナン。その受け入れに対しては様々な声が上がります。「スパイではないのか」「我が強いだけですよ」「勇はどんなつもりで彼女を連れてきたのか」「勇もカナンもリクレイマーで危険分子にしか見えない」、そしてカナンはリクレイマーでないとブレンが言っていると伝えた比瑪「撃墜されたように見せかけて勇を連れ戻しにきたってこともあるじゃない」。

 

そんなカナンのところへスパイに出されるクマゾーともう一人名前の分からない女の子(アカリというらしいですね)は以前比瑪から勇の見張りに任命され最終的には布で包まれることになった二人。前回と違うのは比瑪ともう一人名前の分からない男の子(ユキオというらしいですね)がこの後ろで偵察の様子を見守っていること。前回は勇のブレンの整備を行っておりブレンに対して勇に対してわりとバブみの発動があったのですが、今回はカナンを見張る。カナンと一緒にいる勇を見張る。気になるんだなー、気になるんですねー(ニヤケ顔)。そんな一同を遠目にあれこれ言うのがナンガとラッセ。

彼ら曰くカナンは「年下の坊やを追いかけてくるような安っぽい女じゃないな」と。ある人を想って行動しただけであると感じられたならば当然それ以上の詮索は無意味であるという話なので非常に単純なのですが、残念ながらカナンはそんな単純ではない。ナンガとラッセから見てこの二人が恋愛関係にあるとは思えなかったのでしょうし、仮にあったとしてもカナンがここに受け入れられる経緯は見ての通りでした。彼女はグランチャーのアジャストに苦痛を感じても勇がオルファン離脱を求めてもオルファンを捨てることが出来ず、トドメをさしたのはシラーとジョナサンです。どうでもいいですが、何気に安っぽい女の方が単純で怪しまなくて済むという視点は私の中では新しいものだったりしますね。といってもここでの安っぽい女はいわゆるビッチといったものとは別でしょうが。

この後ナンガ・ラッセにオルファンに居た理由を問われ銀河間を飛行するオルファンにロマンを感じたと答えるカナンですが、そういうものに惹かれたのかと問われるとそれに惹かれたこと自体は違ってはいないのでしょうが「そうね」と少しばかり距離を取った態度を取るカナン。オルファンが地震にとっての安息の地だったという話は家庭環境や内面の話であるので、そういった態度に何か問題があるとは思いませんが。

 

彼らがそんな会話をしている最中もプレート出現地では争奪戦の局面は

「こいつにはミサイルないのか」「いやあるさ(ガシャン)」

ちょっとした笑いを挟みつつも進行していきます。

ノヴィス・ノアではブレンパワード隊に出撃命令が下り、カナンも勇にブレンを届けるべく現地に向かいますが拒否反応が出てしまいます。しかし「おばちゃんこわいよう」と拒否するブレンを「お母さんのところに連れてってあげるから泣かないの」となだめるカナン。位置的には子宮の位置なんですが担っているのは保護者の役割で、しかもブレンには(これはグランチャーも同様ですが)リバイバルに立ち会えば立ち会った者に合わせてくれるという習性もあるらしい。刻印づけっぽいです。といっても刻印づけということはオーガニックマシンは人間の類のものではないですし、パイロットたちが親をやってみせるというのもそれはそれで違和感を感じないではないのですが。いや私が動物が好きでないので、という部分は大いにあると思います。

6話冒頭でもシラーはグランチャーに対して「私の坊や」と語りかけていたりしました。カナンや勇のことがあるためグランチャーからはネガティブな印象を受けることが多いのですが、シラー・グラスはグランチャーの親を上手くやれているようですしスキルや得手不得手の問題もあるのではないかといった感じもします。

 

そしてプレートのリバイバルが始まるころに援軍のブレンパワード隊が現着し、「ブレンパワードがあれだけ集結したとなれば」とジョナサンも落とされていないプレートの収容を急ぐこととします。実際はカナンは戦闘ができるような状態ではありませんからノーカウントなのですがジョナサンがそんなことを知る由はないので戦力として立派に機能します。弱くとも体が大きければいじめや喧嘩の対象にはなりにくくなるので見かけは大事ですね。

そんなジョナサンが消えた安全な環境ですからプレートも安心して長いリバイバルをこなし、プレートからは双子のブレンパワードが現れます。ヌートリアの方ではグランチャーがリバイバルするのですが、ブレンパワード隊の方ではブレンパワードが、リクレイマーの方ではグランチャーが生まれるというのは偶々なのでしょうか?リバイバル直前もしくはリバイバル時の環境でどちらにリバイバルするかを決定するということでしょうか?といってもオルファンにはブレンパワードもありましたから、偶々でしょうかね。

ちなみにリバイバル中コモドは「戦いの神オグンが遣わしてくれた?」と一人ごちるのですが、初見時コモドにアジャストしたら嫌だなーと思いながら観ていました。というのは物語的にもコモドにとってもあまりに都合が良すぎるからで、ハッキリ言うとそんなものを私は求めていないっ!それにオグンの神は貴女に何もしてくれないしそんな都合の良い存在はいねぇよという根性で眺めている方が楽しいじゃないですかという少々曲がっていると言われても首を横には振れない理由もあります。見ているところは違うと思われますが7話ラストでナンガも可愛い奴だなって言ってました。私は「何でヒギンズやカナンなんだよ」とか「オグンは私を見離したのか」と期待に中々沿ってもらえないコモドが好きなんだよ、というただの勝手わがままです。

オグンは都合の良いことをしてくれる神なのかという話は別にしておいてください。

 

そろそろカナンの話に戻ろうかと思います。戦闘を怖がるブレンに「意気地なし!」と叫びながらオルファンでの回想に入ります。

 「オルファンという存在が分かってくればグランチャーはオルファンの子供で、私たち人間はその二つをつなぐ神経細胞」

「オルファンは地球上の生物のエネルギーを全て吸収する物なんだろ」

「それでいいじゃない。地球を食い尽くした人類のエナジーを全て取り込むのがオルファン。そして新しい星を目指してオルファンは銀河旅行をする」

「いいのかよ、それで」

「グランチャーが宇宙でも使えると証明されれば、オルファンのシステムというのはそういうものなのよ」

(中略)

「私たちはそのオルファンのシステムに人類の遺伝子を伝える。そうすれば」

「オルファンの完全なアンチボディ、つまり抗体になるってことだぞ」

おそらく勇もかつては同じことを口にしており、多くのリクレイマーが同様のことを主張しているのでしょう。主張という言葉を使いましたがそれでは何も言っていないのと同じでしょうし、カナンも現状の環境を変化させるという考えを働かせることはなく会話は噛み合いません。

「そうなればグランチャーに乗っても苦しくはないわ」と涙を滲ませながら答えるカナンに対してブレンパワードは辛くないのだと伝えようとするカナン。しかし勇がどのように伝えようともカナンはグランチャーを基準に話す事しかできず、「どう違うの」と返してはいますが大して興味があるというわけではなくただの会話のテンプレートに沿っているだけに見えます。極め付けは「ふーん、そう」。

思考の停止も、勇の話に耳を傾けようとしなかったことも、自身の苦痛を言い訳にしていたこともあらゆることが自分の意気地の無さであったと振り返ったというところでしょうか。直後に「私はあなたと一緒に居られる女ではないの?」とブレンへのアプローチ法が変わります。

ちなみに2話で語られた勇のカナンへの相談とはこういった会話のことを指していたのでしょうか。これは見方によっては相談と呼べるしまた逆に呼べないといった感じがしますね。カナンが話半分に聞いている部分があるにせよ、この辺にも認識の齟齬があったのではないかなーと思います。人間はニュータイプにはなれない。

 

ブレンへのアプローチ

ブレンへのアプローチという話があったのでまたちょっと話題をそらします。

先に飛翔を始めたカナンブレンを見たヒギンズは「お兄さんなのに負けていいのか」と自分のブレンの尻を叩きます。しかしその後不安定になったブレンに対しカナンも「お兄さんなんでしょう?」と叱りつけます。8話でもまたまたヒギンズが「お兄さんらしく」と宥めています。

・ヒギンズ「お兄さんなのに」

・カナン「お兄さんなんでしょう」

・ヒギンズ「お兄さんらしく」

終わりのないディフェンスかな?

まぁ、ここで問題なのはどっちが兄なんだよという話ではなくて、彼女たちの叱咤バリエーションの少なさですね。お兄さんなんだからというのは子供(兄)に言い聞かせたい時の常套手段(文言)ですよね。私も弟持ちなのでよく言われました。年齢差があっても双方ある程度成長してくると関係ないだろうという反発も湧くのですが、そうでない内はかなり効く言葉だと思います。双子の従妹を持ってはいるものの双子ではないので、この場合「お兄さんなんだから」という言葉が効くのかどうかは分かりませんがこの場で重要なのは兄に対してはそれが効くだろうという認識が一般にあるのだろうということです。この二人は便利だからと自分の都合に合わせてワンパターンにそれをやって見せているだけじゃないか!という話ですね。その点比瑪ちゃんはかなりハイレベルでは。

 

話を戻します。

カナンはオルファンでの勇や自身にまつわる話を直子にします。6話でラッセ達に語ろうとすることのなかった内容ですが、この場への馴染みや直子の人柄または同性であるといった理由があるのでしょう。ブレンパワードとグランチャーの違いについてのカナンの話の内容は7話回想における勇の話と同種のものです。当時は理解もそのために労力を割くこともしなかったカナンがきっかけは何であれ別の人に言葉として伝える事ができるようになる。良い...。あ、じわじわ狂っていくのも好きなので丸くなるのが好きだというわけではないです。

ちなみに「どう、違うんです」という直子の返しもわりと勇とカナンのやり取りを彷彿とさせますが、先ほども言ったようにテンプレ的な部分がありますからねー。それにパイロットでない直子の場合はブレンとグランチャーに対する認識が比較的フラッ

トなはずですし、別の物です。

 

さて、ちなみに8話序盤からラッセはカナンにアプローチをかけていけます。年下の恋人がいるとカマをかけてみたり、ボディタッチを試みたり、そんな最中にカナンを呼ぶ勇の声にギクリと反応したりします。

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そんなボディタッチもカナンは拒否するのですが、ケイディ潜入時オーガニックエンジンルームへカナンを通し「同じクルーでこの船をそれを認めたのだ」という言葉にカナンの警戒ラインは一気に後退。直後には肩を抱くことを受け入れています。その後カナンは自らラッセの肩に手を添えるといった仕草も見せます。しかしこの状況におけるこの言動、ラッセはスケベだ。

しかしながら戦闘に出るとなると手助けは無用であるからヒギンズブレンを見てやってくれという意思表示もするので、うむなるほど確かに安っぽい女とは言えないですね。

 

ちなみにこのエンジンルームはどうやらオルファンそのものの縮小版らしいということですが、ならばおそらく

「オーガニックエンジンの実用性はノヴィス・ノアによって実証されました。つまりノヴィス・ノアが抑止力として有効であると考えられます。ノヴィス・ノアがオルファンのエネルギーを吸収することも可能であると」という名前の分からない某研究者の主張に対してのアンサーは

「馬鹿言うな!」で良いのでしょう。

 

おわりに

4話からカナンに焦点があてられることが多かったように思いますが、環境が変わりブレンに触れ環境に馴染んだ8話までがカナンの話といったところなのでしょうか。9,10話ではカナンどうこうという話では無くなりますしね。それではこのあたりで...。