ブレンパワード15話感想

ブレンパワード15話「一点突破」の感想です。前回投稿から240日ほど経過というのはなかなかに恐ろしいもので、試験があったり5週間ばかり日本にいなかったり色々精神的にダメになったりGレコを視聴していたりその後また試験に突入したりとしている間にこうなってしまいました。春期休暇に入ってわりとすぐブレン視聴再開したのですが今度は溜めに溜めていた鉄血のオルフェンズの後追い視聴も始めてしまいまた放置...。私のアニメ消化速度はすさまじく遅い...。

 

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2度の特攻

13,14話にて展開されたオルファン封じ込め作戦においてオルファンは停止したかに思われます。作戦のおかげなのかそれとも別のなんらかの要因により停止したのかについては作中の登場人物たちがあれこれと思案を巡らすのですが本当のところはわからずです。しかしその途中上層部から作戦停止の命が下ったためノヴィス・ノアのオルファン封じ込め作戦は中止を余儀なくされます...。ではありますが、ノヴィス・ノアクルーの中でオルファンに対して攻勢をかけなければという動きがあり、勇もそこに情報を提供するととともに便乗。ここから先が15話のお話となります。

 

ナンガ「特攻くらいはやるつもりだ」

勇「カナンを泣かせることになるかもしれないんだ!」「オルファンを潰すには特攻しかない」

さて、今回オルファンに攻撃をしかけるにあたって特攻だの神風だのと冒頭から不穏なワードと雰囲気が醸されます。勇のおかげで弱点が分かったは良いがその弱点まで飛び込むことが出来ないから特攻覚悟でそこまで踏み込んだ後にミサイルぶっぱという趣旨の作戦。

 

ラッセと勇と

特攻だの神風だのという言葉が飛び交う不穏な空気の中、オルファンへの敵愾心と傷つけられた恨みからいきり立つラッセブレンといつもの青いバンダナの代わりにカナンの赤いスカーフを巻くラッセ・ルンベルク。そしてユキオ達に目線をやりながら「お前たちなら、頼まなくっても生きていけるよな」とつぶやく。

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治療を拒んでいる白血病患者であり寿命も長くない上に、現段階でもかなり弱っているというところまで重ねて何から何まで不穏すぎる死亡フラグの積み重ね。ここまで重ねて実際に死んでしまうと逆に笑いが生じてしまうのではないかと思えるほどに死亡フラグを積み重ねていきます。

 

さてこの15話の作戦、そういった不穏さとは別に

「ビープレートやブレンパワードの特性に活路(というほどのものでもないが)を求めた当初の単独行動からフリュイドスーツを着て見せるなどゲイブリッジ曰くのチームプレイにシフトしつつあるこのタイミングで、14話後半にてラッセから「俺たちを利用するくらいの気概は見せてほしい」と言われたりもしながら、陽動+本命のミサイルという計画的なチームプレイに勇が初めて参戦したイベント」

というような意味も見出すことができるのではないでしょうか。全26話中15話を要して段階的な変化を経てやっとここまできたというわけなんです。おじさん感動で涙しちゃう。

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「もっとだ。もっと爆発のエネルギーを正面にまとめて、集中させろ!」

ところが人間そうは簡単に変わらないもので、単独行動を選択する傾向がありセンシティブで内向的な青年である勇は誰にも知らせず独断でどえらい行動に。それは爆発のエネルギーをブレンの力で前方向に集中させるという荒技で、結果勇ブレンボロボロの姿となってしまいます。そして、それを嗜める比瑪には

「ラッセは俺以上に覚悟があるんだ!俺だって、オルファンを沈められるならばらばらになってもかまわないと思ったけど、できなかった!」

「馬鹿な家族を持ってる俺は、一人前の覚悟もできない男なんだ!」

と投げやりに叫ぶのですが、どうやら勇はジョナサンの翠や研作についての状況報告も「お前には覚悟がないからダメなのだ」と言われたことも完全に鵜呑みにしている様子。お前実はジョナサンの事好きだろ(暴言)。...アノーア艦長の件でもそうでしたが、両親はいるが子供が求めていた愛情を得られなかったことがコンプレックスとなっているということで、勇とジョナサンには基本的に通ずるものがあるのでしょう。

 

一方海中から女のフィギュアを狙うラッセ、1人で死へ向かっているという恐怖を紛らわすためかカナンのスカーフの匂いを嗅ぎながら随分と独り言が多くなります。横についたキメリエス艦長レイトに対しても「お互い女1人のために命を懸けて、馬鹿なことよ」とシチュエーションと相まって死亡フラグ+5ポイントくらいです(基準不明)。その後カナンも来るのですが、ラッセブレンは「太古からの恨みをはらす」「revenge!」とパイロットに見せながら特攻を始めます。そしてその爆発を受け止めるラッセは、おそらく勇の特攻の時に勇がやったことを真似たのでしょう。

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独断で誰にも知らせず行った勇の時は何が起こったか分からず、事の重大さが分かったのは弾かれた勇ブレンがボロボロになってしまい勇の口から死の覚悟を持ってやったのだという言葉が漏れてからです。そして今度はその危険性が視聴者に対しても周知となった状態での、懇切丁寧に死亡フラグを積み重ね続けた「勇以上の覚悟がある」ラッセの攻撃。緊張感があり非常にハラハラとさせられました。画像見ると勇ブレンよりこっちの方が腰が入っているのが分かりますね...。

 

生き残ったラッセ

しかし、「妊娠させてくれなければ」というカナンの言葉の通りラッセにはまだ雄としてやるべきことがあるということでしょうか、これだけの死亡フラグを重ねつつもラッセは生き残ります。

 

親から望まれての生ではなく誰からも求められない存在であるという意識を持っていたカナンはオルファンを出て、求めていた愛情と承認と居場所をノヴィス・ノアとブレンとラッセに見つけます。つまりラッセの死はカナンが人生において初めて得た・人生をかけて欲したモノの喪失を意味するということで、これはあまりにも残酷すぎるのではないでしょうか。ラッセが死ななかったのはブレンパワードという物語の優しさというか、それがブレンパワードの在り方に反するのだということだと思います。15話感想に書くことではないんかもしれませんが、つまりはブレンパワードは孤児たちが「足りなかったもの、欲していたもの、逸れてしまったもの、欠けてしまったものを再獲得していく」という話なのではないかということです。もちろん、銀河を求めるオルファンも例外ではなく。

 

ついでに

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ラッセブレンの攻撃のエネルギーでさらっと行方不明になるジョナサンと

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不倫そのものに対しては誰も問題にしない清々しい不全家族